2018.1.23
, EurekAlert より: 
若い女性に不足しがちなミネラルなどの栄養素を補充することによって、中距離走のタイムが短縮するなど、体力向上の効果がみられたという。米国オハイオ州立大学の研究。
この研究では若年女性28人を対象に、その半数を試験群として数種のミネラルと栄養成分の混合物を1か月間摂取してもらい、残りの半数の女性はプラセボ(偽薬)摂取群として、両群を比較した。
試験群の摂取した混合物には、鉄・銅・亜鉛といったミネラルの他に、2つの栄養素、カルニチン(アミノ酸由来のビタミン様物質)、ホスファチジルセリン(リン脂質の一種)が含まれている。この2つの栄養素は細胞機能に必要で、体内でも生成されるが食べ物から摂ることもできる。
1か月後、試験群では中距離走(3マイル(約4.8km))のタイムが平均で約1分短縮したという(26.5分→25.6分)。また、エアロバイクを25分間漕いだ場合の走行距離が延びた(平均6マイル→6.5マイル)ほか、階段昇降運動の成績も向上した(平均40回→44回)とのこと。この変化は統計的に有意であり、プラセボ群には認められなかった。
最初の試験の再現性を確認するため、続いて第2の試験を行った。この試験では34人の女性を対象に、混合物に含まれる栄養素のうちカルニチンの用量を半分に減らしてみたところ、中距離走のタイムの短縮は41秒にとどまった。
「若い女性は特に、栄養素の欠乏状態がよくみられます。そして、それらの栄養素は運動時の細胞に対し大事な役割を持っているのです。彼女たちは、男性より肉の摂取量が少なく、月経があることもミネラルの損失において大きいのです」と筆頭著者のディシルベストロ教授。
彼は、今回の研究と先行研究の結果に基づいたサプリメントの開発・販売に向けて動いている。価格は1か月の使用で35-40ドル程度にしたい考えとのこと。なお、本研究はゲータレード運動科学研究所の支援を受けて行われたが、この研究所は商品開発に関与していないという。
ちなみに、男性は銅を除き上記の栄養素の軽度欠乏はあまりみられないが、菜食主義者の男性には欠乏の可能性があるため、サプリメント摂取による利点があるかもしれないとディシルベストロ教授は話している。
出典は『国際スポーツ栄養学会雑誌』。 (論文要旨)
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