2018.1.10
, EurekAlert より:
飢饉や伝染病の蔓延といった最悪の状況下では、女性のほうが男性より長生きすること、そしてその差を生むのは、成人期よりも幼少期にあることが発見された。逆境におかれたとき、女の赤ちゃんの方が生存率が高いのだという。南デンマーク大学の研究。
現在、女性は世界中のほぼ至るところで男性より長生きの傾向があるが、3世紀にわたる歴史的記録により、通常時は女性は男性より長生きではないことが示された。女性の方が長生きするのは、飢饉や伝染病の蔓延といった最悪の状況下であったようだという。そしてその差を生むのは、成人期よりも幼少期にあることが発見された。逆境におかれたとき、女の赤ちゃんの方が生存率が高いのだという。
研究者らは、7つの集団において、およそ過去250年間にわたる、飢餓や病気、その他の不幸によって短命に終わった人の死亡率のデータを分析した。これらには、1800年代初期のトリニダードや米国の奴隷、18・19・20世紀にスウェーデンやアイルランド、ウクライナで起こった飢餓の犠牲者などが含まれている。
全体的にみると、男女ともに死亡率が非常に高かったときにも女性は男性よりも平均6か月〜約4年ほど長く生きていたという。年齢層ごとに結果を分析してみると、女性がより長く生きられる理由は、乳児死亡率の差にあることがわかった。女の赤ちゃんは男の赤ちゃんより丈夫なのだ。
今回の結果は、寿命の男女差が性別による行動の違いだけでは説明しきれないことを示唆している。その代り、危機の際の女性の強みは、遺伝学上のものやホルモンに起因している可能性があるという。エストロゲンはたとえば、感染症に対する体の免疫防衛を強化させることが示されている。
「私たちの研究結果は、非常時における性の違いというパズルにひとつのピースを加えるものです」と研究者は話している。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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