2018.10.17
, EurekAlert より:
「痛風の主な原因は食生活」との定説が覆されるかもしれない。血中尿酸値は、むしろ遺伝の影響がはるかに大きい可能性が示唆された。ニュージーランド・オタゴ大学の研究。
痛風とは血中の過剰な尿酸が関節周辺で結晶化し、激しい関節痛と腫れを起こす病気。40歳以上の男性がかかりやすい。
何世紀ものあいだ、痛風のリスク因子は食生活であるとみなされてきた。最近の研究では、特定の食品(肉類・甲殻類・アルコール・加糖飲料など)が痛風リスクを高め、果物・野菜・低脂肪乳製品・コーヒーには予防効果があることが示唆されている。また、遺伝的要因も重要であることが示されている。
今回の研究では、食生活と遺伝子が痛風の発症にどう影響するかを調べるため、米国の5つのコホート研究のデータを統合して解析した。対象者はいずれもヨーロッパ系で、18歳以上の男女それぞれ8,400人ほどだった。また、腎臓疾患や痛風の患者ではなく、尿酸降下薬や利尿薬を服用していない人とした。
血中尿酸値と遺伝プロファイル、食生活の関係を分析したところ、尿酸値の高さと関連のある食品として、ビール・酒類・ワイン・ジャガイモ・家禽類・ジュース類・肉類があがり、尿酸値の低さと関連のあったのは卵・ピーナッツ・シリアル・スキムミルク・チーズ・黒パン・マーガリン・非柑橘系果物だった。とはいうものの、それぞれの食品単独での尿酸値への影響は1%にも満たなかったという。
また、健康食ガイドラインに基づく3つの食事スコアは尿酸値の低下との関連がみられたほか、「不健康」な食べ物の多い食生活パターンは尿酸値を上昇させることがわかったものの、これらの影響度合いは0.3%未満というごくわずかなレベルにとどまっていた。
これとは対照的に、遺伝子解析により尿酸レベルの相違の約1/4が遺伝要因であることが明らかになった。
今回の研究の限界として、データの基になった5つの研究では食事調査の方法がそれぞれ異なることや、対象者がヨーロッパ系のみ、さらに痛風患者ではなかったことがあるため、別の人種や痛風患者には結果が適応できない可能性がある。
それでも研究者らは、今回の研究により高尿酸血症が食生活よりも遺伝子の変異がはるかに大きな影響力を持つことを初めて示した重要な研究である、などと話している。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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