ウコンの代表的な活性成分であるクルクミン摂取と生理学的有効性・安全性との関連性について

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健康影響評価:ウコン

 ウコンは、「いわゆる健康食品」の国内販売実績上位に位置する代表的な健康食品です。東南アジアを中心に熱帯・亜熱帯に分布するショウガ科の多年草植物で、世界中に約50種のウコンが存在すると言われていますが、我が国では、秋ウコン(Curcuma longa、和名:ウコン)、春ウコン(Curcuma aromatica、和名:キョウオウ)、紫ウコン(Curcuma zedoaria、和名:ガジュツ)が代表的なウコンと考えられます(図1)。

 塊根あるいは根茎は、染料、香辛料あるいは漢方薬、インド古来の治療薬として用いられ、古くより医食同源に通じる食品です。平安時代に中国より琉球へ伝わり日本各地へ広まりました。

 ウコンには肝機能改善、健胃あるいは胆汁酸分泌亢進などの様々な効能が昔から口承や多くの経験談として語り継がれています。

 ウコンには、ミネラル(リン、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム)、食物繊維、クルクミン(ターメリック)、クルクメン、アズレン、カンファー、シオネールなど様々な成分が含まれています。

 特にクルクミンは秋ウコンに約3?5%含まれ、抗酸化能や肝機能改善あるいは肝機能維持などに寄与するウコンの代表的な活性成分と考えられています。

 今回我々はクルクミンに焦点を当て、クルクミン摂取量と有効性・安全性との関連を調べるため、人のウコン摂取目安量に含まれるクルクミンをラット体重に換算した量(1倍量)から100倍量までのクルクミンをラットに与え、成長、肝機能指標や脂質代謝へ及ぼす影響を検討しました。

 その結果、クルクミン摂取はラットの善玉(HDL)コレステロール濃度を高め、摂取量の増加に伴い血中中性脂肪の濃度低下を認めました(図2)。

 一方、成長や肝機能指標などに対するクルクミン過剰摂取の影響は観察されませんでした。今回の結果から、クルクミン自体は血清脂質プロフィールを効果的に改善する成分であることが明らかとなりました。

 ウコンはクルクミン以外にも多くの成分を含んでいるため、今回得られた結果がウコンの生理効果にどの程度反映されるのか明らかではありません。

 しかしウコンの有効性や安全性は十分検討されていないため、今後もウコンやその成分に関する様々な検討が必要と思われます。【永田純一】





出典:Nagata J, Saito M: Evaluation of the correlation between amount of curcumin intake and its physiological effects in rats. Food Sci. Tech. Res. 11, 157-160, 2005.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第4巻4号(通巻15号)平成18年3月15日発行から転載


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