Laboratory

ワクチンマテリアルプロジェクト

生体内の半分以上の免疫細胞が存在する腸管組織の免疫システムに着目し、感染症に対するワクチンやアレルギー・炎症性疾患を予防、改善するための免疫療法、機能性食品の開発を目指した研究を進めています。
ワクチン開発においては、近年「腸内フローラ」として注目されている腸内細菌や各種食中毒を引き起こす病原細菌といった共生・病原微生物の機能や性質を活用したワクチンデリバリーやアジュバント、ワクチン抗原の開発を行っています。また食事にも焦点を当て、食を介した免疫制御とワクチン効果への影響、さらにはそこから波及する健康科学への展開について研究を進めています。

スタッフ
  • プロジェクトリーダー:國澤 純
  • 主任研究員:細見 晃司
  • 研究員:雑賀 あずさ
  • プロジェクト研究員:河合 総一郎
主な研究テーマ
  • 微生物機能を活用したワクチンマテリアルの創出
  • 食事を介した免疫制御機構の解明と健康維持における役割
                                 

モックアップワクチンプロジェクト

近年、新型インフルエンザ、エボラ出血熱、MERS(中東呼吸器症候群)、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)等の新たな感染症(新興感染症)の流行が世界各地で発生し、生命に重篤な影響を及ぼすものとして大きな問題となっています。
こうした問題に対し日本でも様々な研究機関・製薬企業が連携して国産の新規モックアップ(模擬)ワクチン開発研究が取り組まれています。本プロジェクトでは、あらゆる新興感染症に対応可能な新規モックアップワクチン開発研究を行い、実用化を含めたプラットフォームの構築を目指します。

スタッフ
  • 招へいプロジェクトリーダー :石井 健
主な研究テーマ
  • モックアップワクチンの対象となる病原体の完全合成可能な抗原作成
  • モックアップ抗原と各種アジュバントの組み合わせの最適化ワクチンの作成

感染病態制御ワクチンプロジェクト

近年、H5N1鳥インフルエンザ、新型のコロナウイルスによる中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱などの重症型のウイルス感染症が発生しています。これらの感染症が重症化すると、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や多臓器不全が引き起こされ、集中治療室(ICU)において人工呼吸などの集中治療が必要となりますが、今のところ救命に繋がる有効な治療法がありません。
本プロジェクトでは重症ウイルス感染症の病態をウイルス-宿主核内相互作用の観点から解明し、ワクチンを含む新しい治療法の基盤となる研究を目指しています。

スタッフ
  • プロジェクトリーダー:今井 由美子
  • 研究員:市田 悠、林 豪士
  • プロジェクト研究員:椎森 仁美
  • 客員研究員:久場 敬司、津田 陽
主な研究テーマ
  • ウイルス感染に対する染色体高次構造変化のダイナミクスと病原性発現機構の解明
  • ウイルス感染に対する宿主ならびにウイルスmRNA翻訳機構の解明
  • 感染病態形成における免疫・神経臓器間相互作用の解明
  • ウイルス感染の重症病態の形成を司る動的ネットワークの予測

感染症制御プロジェクト

感染症は、未だ人類が完全に克服できていない疾病であり、病原体のヒト生体内への侵襲、ヒト免疫反応の強さによって、様々な重症度で発症します。本プロジェクトは、それら感染症の発症機構解明と予防法・治療薬の開発を行っています。
特に、感染症治療に用いられる免疫グロブリン製剤の中和抗体等、ヒトリコンビナント抗体開発を通じて、感染症バイオマーカーによる確定診断法や抗体治療戦略の構築を目指します。さらに、“ヒト免疫原性”に則した感染症ワクチン抗原の探索を行い、これらの情報集積によって、ヒトに対してより効果的で安全性の高い製剤化を推進します。

スタッフ
  • プロジェクトリーダー:安居 輝人
  • プロジェクト研究員:大坪 亮太
  • 協力研究員:早川 正樹、田中 光信、保井 一太、伊藤 寿宏
主な研究テーマ
  • 感染症発現機構の解明
  • 感染症中和抗体のリコンビナント製剤開発
  • 感染症ワクチン抗原・バイオマーカー探索とヒト免疫原性情報の集積化

免疫老化プロジェクト

加齢に伴う免疫老化現象により、高齢者においては癌や感染症の発症リスクが高く、また、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどに対するワクチンの効果が十分に得られないなどの報告があります。
この現状を踏まえ、当研究室では最先端の高次免疫学的マルチオミクス解析基盤を駆使して、感染症、癌に対する防御効果、治療効果と相関する新たな免疫因子を見出し、新規ワクチンや免疫療法開発に繋げる研究を行うことを目指しています。

スタッフ
  • プロジェクトリーダー :山本 拓也
  • プロジェクト研究員:高濱 正吉、鷲﨑 彩夏
主な研究テーマ
  • 加齢に伴う免疫老化現象のメカニズム解明を目指した研究
  • ワクチン安全性・有効性評価系構築
  • 慢性持続感染症(HIV-1/HBV/HTLV)に対する新規治療法開発研究
  • 新興再興感染症に対するワクチン開発研究
  • 膵がんをはじめとする難治性がんに対するがん免疫研究

細胞ワクチンプロジェクト

我々の免疫系に働きかけるワクチンは、従来の感染症予防目的から、がん、生活習慣病、アレルギーなどの疾患治療目的にも適用範囲が広がってきています。また、ワクチンマテリアルも、ウイルスやその構成タンパク質、免疫賦活ペプチドのような化学物質だけでなく、樹状細胞やCAR-T細胞など、免疫系を構成する細胞を用いる治療が急速に実用化されつつあります。
本プロジェクトでは、将来の重要なモダリティーともいえる機能性細胞ワクチンをいかに創り込むかについて探求し、様々な疾患治療への適用を目指しています。

スタッフ
  • プロジェクトリーダー:河原 正浩
  • 特任研究員:別府 香名
主な研究テーマ
  • キメラ受容体による細胞運命制御系の開発
  • 細胞運命シグナルを利用した創薬プラットフォームの開発
  • 細胞内シグナル伝達のカスタム設計